SEの現在はどんな感じ?
SEのギターは製品としての仕上がりも良くなっていますが、同時に楽器としても良くなっていると感じます。USモデルのユーザーさんからも「これだけ弾くと、”これで充分だよね!”と思えるギターになっている」と評価されるほどです。
先日、PRSのポール氏とSE統括マネージャーのジャック氏が来日して両者によるクリニックが開催され、SEモデルの製造が韓国工場からインドネシア新工場に変わったいきさつ、新工場によって得られたメリット、現在の状態になるまでの話などいろいろと聞くことが出来ました。
今回は、SEシリーズのギター製作への取り組み方についてご紹介していきます。
PRSだけを作る工場のメリット
現在SEのエレキギターモデルを作っているインドネシア新工場はOEM生産(PT CORT社)ですが、PRSだけを作る工場となっています。
そうなることで、作業スタッフはPRSギター専属となってPRS流のやり方でトレーニング出来るメリットがあります。(他メーカーとの作り方の違いが沢山あるそうです)
この工場ではスタッフ達が進んでPRSギターの作り方を学ぼうとしていて、学んだことをしっかりと吸収しています。それを続けているうちにここまでのギターが出来るようになっています。
また、それを続けていることでお互いに信頼関係が育まれ、とてもいい関係性が出来ているようです。
スタッフのトレーニングについても、アメリカのPRS工場でトレーニングを行い、トレーニングしたことがきちんと出来ているかインドネシア工場まで視察を行っているそうです。
これはお互いの信頼関係の上に成り立っていて、現在のPRSのクオリティに繋がっているということです。
同じ価値観を持っているパートナーと手を組んでいる
PRSとしては「ギタービルダーと仕事がしたい。お金儲けのためだけでなく、自分たちのギターを愛情を持ってちゃんと作ってくれる人と仕事をしたい」という想いが根底にあって、現在のパートナー(PT CORT)はその価値観が一致しているのだということです。
ヘッド裏に社名が記載されていますが、それは作っている人にプライドと責任感を持って取り組んで欲しいという想いがあり、自分達の名前を書くことで、良いギターを作ろうというモチベーションの維持にもつながるだろうということです。
また、ミスが発覚したときに原因の追求がしやすいこともあります。
「悪魔は細部に宿る」
これは「一見簡単そうに見えることでも、細部に落とし穴や問題が潜んでいるため、注意が必要だ」というアメリカのことわざで、ジャックが言うには、
「たとえ90%のエネルギーを注ぎ込んだとしても、本当に良いギターを作るのは難しい。残りの10パーセントをいかに注力するかによって、素晴らしいギターになるか否かが変わってくる。 ただ、その10%は見落としがちになることや細かいことが多く、実行するのがとても難しい」
ということでした。
そして、PRSはその残りの10%を意識して日々切磋琢磨している様子でした。
今がピーク
設備面やピックアップ製造に関する話もありましたが、その部分も含めて好循環が生まれ「現在がピークである」と自負するほど充実している様子でした。
今のSEシリーズが高い評価をされているのは、新工場建設から数年かけて積み上げてきた結果であり、PRSと関わっているパートナー両者共に"いいギターを作りたい" という想いを持ち続けてギターを作ってきた賜物であると言えます。
SEシリーズに興味のある方は、まずは実機を触って、現在の仕上がり具合をチェックしてみて下さい!