「同じピックアップなのに音が違う」—エレキギターの面白さ

 店主です。昨晩、予約録画しておいたお正月番組を見ていたら、ラーメンが美味しそうに紹介がされていて、無性に ”こってり系の辛め" のラーメンが食べたくなっています(笑)

 前回の記事では、エレキギターは「ほんの小さな違い」でも音が変わりうる、という内容のご紹介でした。
 今回はその続きとして、よく話題にあがる・・・

 「ピックアップが同じなのに、ギターが違うと音が変わるのはなぜ?」

 を、もう一歩踏み込んで見ていきます。

ピックアップはエレキギターの“心臓部”

 アコースティックギターで言えばボディやネックの「木材」が音を作りますが、エレキギターは基本的に、弦の振動を電気信号に変換して音にする楽器です。

 その変換を担当しているのがピックアップ。つまりピックアップは、音のキャラクターを決める”心臓部”のような存在となります。

 ピックアップが違えば、出力感、明るさ、太さ、歪ませた時のまとまりなど、サウンドのキャラクターに変化が分かりやすいので、「音の方向性を決める(変える)なら、まずはピックアップ」となるのでしょう。

ピックアップが同じでも「弦の揺れ方」が違えば、出てくる音は変わる

ピックアップは、ざっくり言えば「弦の揺れ方を拾うセンサー」です。
つまり、同じピックアップでも、

  • 弦がどう揺れるか
  • その揺れ方がどんな“クセ”を持つか

 でサウンドの印象は変わってきます。

 そして弦の揺れ方に大きく関わるのが、ギターの構造(ソリッド/ホロー、セットネック/ボルト・オンなど)と、木材の種類個体差です。

①構造による違い:ソリッド/ホロー/セミホローで“鳴り方の土台”が変わる

 同じピックアップでも、ギターの構造が違えば「鳴り方の土台」が変わります。

  • ソリッド:ボディ全体が比較的動きにくく、反応がまとまりやすい。輪郭が出やすい方向に感じる人も多い。
  • ホロー:箱鳴り(空気の共鳴)が絡みやすく、響きに独特のふくらみが出る。空気感や余韻のまとい方が変わりやすい。
  • セミホロー:センターブロックで安定感を作りつつ、ホローの空気感も残す中間的な立ち位置。

 つまり、同じピックアップでも「土台の鳴り方」が違うと、アタック、余韻、各音域の出方、響きのまとい方が変わってくるということです。

②木材の種類による違い

エレキギターの木材は、弦の振動を整える”フィルター”みたいなもの。ピックアップで電気信号になる前に、木材が特定の音(周波数)を通し、特定の音(周波数)を削ることで個性が生まれます。

大まかに分けると、

硬めの木材(メイプル、エボニーなど): 振動を吸収せずにそのまま跳ね返す性質があります。 弾いた瞬間に音が出るような鋭い立ち上がりと、輪郭がハッキリしたキラキラした音になります。

柔らかめの木材(マホガニー、アルダーなど) 振動エネルギーを適度に吸収し、特に高い音をマイルドにする性質があります。 角が取れた温かい響きになり、中低域に厚みがある音になります。

③木材の個体差による違い

 木材は同じ名前で呼ばれていても、工業製品ではありませんので、同じマホガニー、同じアッシュ、同じメイプルでも、

  • 木そのものの性質
  • どの部分を木取りしたか
  • 成長の仕方や年輪の詰まり方

などの条件で、密度・硬さ・弦の振動の吸収のされ方がけっこう変わります。

さらに「密度が高い=必ず良い」みたいな単純な話ではなく、

  • 剛性(硬さ)
  • 減衰(振動がどれくらい吸収されるか)
  • 方向性(木目方向での性質)

 などによって、弦振動の具合も変わります。
 結果として、同じピックアップでも“鳴りの立ち上がり”や“余韻の質感”が違って感じられるわけです。

 *密度や剛性のバランスが良かったり、性質が安定していたりする材は、質が良い木材として評価されコストにも反映されていきます。


まとめ:ピックアップが良いだけでは完成しない。”組み合わせ”や“バランス”がサウンドを決める

 ピックアップは、エレキギターの音のキャラクターを決める超重要パーツです。
 しかし実際には、構造(ソリッド/ホロー等)と木材の種類(硬い・柔らかい等)と木材の個体差(密度・剛性・減衰)、そして電装や調整まで含めた“全体のバランス”の中で、最終的なサウンドが決まっていきます。

 だからこそ、エレキギターが ”知れば知るほど興味深い楽器” であるのかもしれません!