構造が音を決める。合板と単板の違い
「単板の方がいいの?」「合板って、音が劣っているの?」
フルアコを検討していると、一度はこんな疑問にぶつかることがあるかもしれません。
ギターの世界ではそのようなイメージが根強くありますが、少なくともフルアコという楽器に関してついてはそうとは言えないでしょう。
今回は、フルアコにおける合板と単板のボディの違いを、紹介していきます。
単板・合板とは?
単板:1枚の無垢材を削り出して使用するもの。
合板(ラミネート):薄い板を3~5枚重ねて接着したもの。
(バインディングがなければ、サウンドホールの断面を見ると判別できるでしょう。)
・単板を使った代表的なフルアコ(Gibson L-5,Super400 etc.)
・合板の代表的なフルアコ(Gibson L-175、Grestch etc.)
フルアコのサウンドは、構造で性格が決まる
フルアコでは、
- 弦の振動
→ トップ板が振動
→ 空気が動く
→ 音として立ち上がる
という流れが非常に強く関わっています。
つまり、トップ板がどのように振動するか=音の性格そのもの とも言えるでしょう。
単板フルアコの特徴
単板トップのフルアコは以下の特徴があります:
- トップ板がよくしなって
- 空気を大きく動かし
- 音に奥行きや複雑さが出やすい
という特徴があります。生音ではとても豊かで、コードを鳴らしたときの広がりも魅力的です。
一方で、
- アタックが強い
- 音量のピークが出やすい
- アンプ使用時に暴れやすい
といわれることもあります。
そのため、演奏環境によってはハウリング対策や音量コントロールに気を遣う必要がある場合も少なくありません。
合板トップ・フルアコの特徴
合板トップを使用したフルアコには以下の特徴があります:
・トップの振動が穏やか
・音のピークが出にくい
・全体の鳴りが均一
この結果、1音1音の輪郭が整い、フレーズがはっきり聴こえるため、アンサンブルの中で音が安定するサウンドになります。
サステイン違いは“長さ”ではなく“質”
「単板の方がサステインが長い」と言われることがありますが、サステインの“感じ方”の違いによるところがあるかもしれません。
単板:鳴り始めが大きく自然に減衰していく
合板:鳴りが抑えられ、一定の音量感でスッと残る
といった感じです。
まとめ
単板か合板かは、どちらが正解というわけではありません。
「生音の豊かさを楽しみたい」「大きく鳴る感触が好き」という方には単板が魅力的に感じられるでしょう。また、「バンドやアンサンブルで安心して使いたい」「音の扱いやすさを重視したい」という方には合板が魅力的に映るでしょう。また「どちらのサウンドが好みなのか」が重要です。
フルアコのサウンドは構造によって性格が左右されます。また木材の種類や合板・単板の組み合わせ方によってもサウンドに違いが生まれます。これもまたフルアコという楽器の奥深さです。
当店でもフルアコを在庫しておりますので、興味のある方はぜひ実際にお試しください!

