ネックは”柾目”、”板目”のどちらが良いのか?
ネックは”柾目”か”板目”のどちらが良いのか?
当店でもしばしば話題にあがる内容ですが、皆さんはどう思いますか?
個人的に以前は「”柾目”ネックが良いに決まっているじゃん」という考えでした。 だって、PRSもGibsonも”柾目”ネックが基本ですし、Fenderのカスタムショップやマスタービルダー等の上位機種は大体”柾目”ネックになっていますから。
ですが、ネジれた”柾目”ネックもたくさんありますし、完璧!!と言えるほど真っ直ぐな年代物の”板目”ネックもたくさんあります。
「変な反り方やネジれの起こる可能性が低くなる」という点では”柾目”が良いかもしれないが、必ずしもそうではない・・・・です。
ネックについて考える中で、もうひとつ大切だと思う点があります。
それは「どれくらいの ”下準備” を行って 、どのような”作り方”をしているか」という事です。
Paul Reed Smithの場合
Paul Reed Smithはマホガニー、メイプル、ローズウッド、コリーナをはじめ扱うネック材の種類が多いメーカーですが、”柾目”ネックが基本となっています。
ネック材は強制乾燥して内部まで適正な含水量にした後に、まず荒削りします。ネック材は分厚いヒール部分からヘッドまで1本のネック材で作りますから、削る量も相当なものです。大幅に削られる事でネック材中心部が表面に出てきますので、荒削りの状態でもう一度乾燥させます。そうする事で木のクセも出せますし、いっそう反りや捻れにも強くなります。(フレットバリが出にくいのも、この工程があるからかもしれませんね)
T`s Guitarsの場合
T`s Guitars もメイプル、マホガニーをネック材として使っています。リペアを多く行ってきている事もあり、サウンドと強度にコダワリがあります。
メイプルについては”板目”ネックが基本(柾目はオプション)となっていますが、なんと贅沢にも「左右対象」となる部分を使い変なクセが付きにくくしています。(ちなみにこの様なネックの取り方をしている他のハイエンド・メーカーもあります。)
普通ならこれで2~3本作れるでしょうが、そこがネック作りのコダワリの部分です!! マホガニーも「ホンジュラス・マホガニー」を一貫して使用していますし・・・。
作業工程は「Paul Reed Smith」に近い感じで、”削っては乾燥を繰り返す”ことで木のクセを出しながらじっくり作っていきます。
けっきょくのところ
「ネックは”柾目”か”板目”のどちらが良いのか?」というのは、そもそも一概には言えないということになりますが・・・・。
”板目”であっても”柾目”であっても、質の良い木材をきちんと下準備し、じっくり作っていけば良いネックが出来るのではないでしょうか。そこから先は環境や所有者の扱い方、そして運次第(?)ということになるのでしょう。
メーカーや製作者によって考え方が違いますので、ギターを作るにあたっての拘る部分や優先順位の違いが出てきます。
”ネック”というギターで大切な部分に対して、「どういう材質を使い」「どれくらい下準備を行い」「どれほど手間ひま掛けて」「どのように作っていく」かも製作者によって考え方が違ってくるでしょう。
その結果として、数年、数十年後のサウンドやコンディションも違ってくるかもしれませんので、面白いモノです!!
そんなギターの見方も面白いのではないでしょうか!?