PRS S2 シリーズの秘密

現在、Paul Reed Smith ではエレキギターのラインナップを5つのカテゴリー(CORE、BOLT-ON、CE、S2、SE)で分けています。 その中の ”S2″シリーズ についてご紹介します。

“S2” はアメリカの本社工場で生産されているシリーズの1つです。あらゆるところがコストカットされていて、手に入れやすいアメリカ製PRSのシリーズと位置づけされています。

ただ、この”コストカット”については、それぞれのメーカーによって考え方が違っていて、コストカットする部分としない部分が分かれるところです。

この記事では、S2シリーズのどこにコストを掛けて、どこのコストをカットしているかを一部紹介します。それによってS2シリーズについてやPRSのギター作りの着眼点、モノ作りへ誠実さが垣間見えると思います。

ぜひお続きをお読みください。

必要十分な手間を掛ける

「その価格帯の中で最高のギターを作る」という意識がとても強いのがPRSというメーカーです(去年のPRSとのミーティングの際にも語っていました)。 

それ故に作業効率が徹底的に見直しされています。ギター作りは手作業を多く必要としますので、”加工や研磨などの作業はマシーン等設備を充実させてより効率的に、それによって余裕が出来た分を大切な工程に充てる” ということを行っています。

例えばボディトップはフラットになっていますが、これによりサンディング作業が早く簡単にできます。しかし、ギターとして押さえておくべきポイントは押えていて、弾き易さやデザイン面も考慮してコンター部分やエッジ部分は落とし込まれています。 それに対して塗装やネックの仕上げにはCOREと同じくらいの手間を掛けています。

この手間の掛け方のバランスがPRSならではでしょう!

良い木材を無駄なく使う 

S2シリーズでは木材を無駄なく使っています(ECOの面からも好感が持てます)。

ネックのスカーフジョイントもその一環で、ほぼCORE1本に使う木材で2本分のネックを作ることが出来ます。木材もCOREにひけを取らない質の良いものを使い、同じ木材を切断⇒ひっくり返して接着 ですので、サウンド面でも劣るモノではありませんし、安価なギターのような変なネックの反り方をすることもないと思います。

ボディがアーチになっていないことで、ボディ材の体積も稼げてサウンドにもいい影響を与えます。

細かすぎるパーツ分け

PRSの特徴の一つとして、ピックアップやボリュームなどのパーツ開発量や選別方法があります。他のメーカーには無いほどの拘りがありますが、S2シリーズに対してもその拘りが垣間見えます。

ペグやペグボリュームポットは S2専用の物が使われていて、”サウンドを損ねない、かつコストを抑えて…” というバランスを取りながら開発しているように感じます。おそらくかなりの少額単位までコスト計算されているのでしょう。

ピックアップについては、同じモデルであれば基本的に SEシリーズ(アジア製)と同じものが使われています。SEで作っていないモデルはそのモデル専用となります。どのピックアップも、サウンドを重視しつつコンセプトをふまえてデザインしているといった印象です。どのピックアップもこの価格帯としてはかなりバランスが良いので、開発までに相当な手間と時間をかけているのでしょう。

最後に

いかがでしたか?  コスト面での制約があるなかでも、楽器として「最高のギターを作りたい」というPRSのギター作りへの姿勢や誠実な考えが垣間見えたらうれしいです!

このS2シリーズも”この価格帯での最高のギターを作ろう” ということが感じられるギターばかりです。コスト的に抑えられたピックアップやパーツ類をグレードアップして、秘めたポテンシャルを引き出すということも楽しめそうです!!