PRS S2 シリーズの塗装の秘密

現在、Paul Reed Smith エレキギターのラインナップのうちの1つである ”S2″シリーズ についてご紹介します。

“S2” はアメリカの本社工場で生産されているシリーズの1つです。あらゆるところがコストカットされていて、手に入れやすいアメリカ製PRSのシリーズと位置づけされています。

ただ、この”コストカット”については、それぞれのメーカーによって考え方が違い、どの部分やコストカットするのかしないのかの基準が分かれる興味深いところです。

この記事では、S2シリーズのどこにコストを掛けているかを紹介します。それによってS2シリーズについてやPRSのギター作りの着眼点、モノ作りへ誠実さが垣間見えると思います。

前々回の記事の続編として塗装についてご紹介します。


塗装の種類

ギターにとっての塗装、特にクリア塗装はサウンドにも影響してくる部分として重要視されています。

一般的に使われているのは「ラッカー塗装」、「ポリ塗装」、「ウレタン塗装」、「オイル塗装」あたりですが、それぞれ特徴がありメーカーやモデルによって塗装方法が異なります。ポリ塗装は薄く塗れる技術もあるので、以前によく言われていた”低価格ギターに施されている分厚い塗装”とひとくくりには出来ないでしょう。

塗装の種類によって硬さや質感やサウンドが違ってきますが、ギターの鳴りにとっては塗膜が薄いほど木材の鳴りを活かすことが出来るでしょう。ただ薄く塗装するには高い技術が必要です。

PRSの塗装

PRSの理想の塗装は”薄くて丈夫”そして”輝きのある仕上げ”で、創業当時のラッカー塗装に始まり、ウレタン塗装、V12 フィニッシュなど常により良い塗装方法を模索しているようです。ベースコートは基本的にポリ塗装でした。

2021年から本格的に採用されている塗装はベースコートをCABと呼ばれるもので、硬さ、耐久性、サウンド、そして同じクオリティで量産できるそうです。そしてトップコートはNitro(ラッカー塗装)となります。

S2の塗装

塗料や塗装方法の違いでコストも違ってきますが、塗装については S2シリーズもCOREモデルと同じ塗装がされています。ということは塗料も塗膜の薄さもCOREと同じということになります。

サウンドに影響するということからも、S2シリーズに関しても塗装は”コストを掛けてでも押さえておくべき部分” ということなのでしょう。またネックを握った時の質感もCOREモデル並みです。

S2はコスト面での制約があるなかでも、PRSにとって楽器として大切な部分がどこにあるのかが塗装に対しても垣間見えるのではないでしょうか。


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